お知らせ

2022.3.1

令和3年度 卒業式 清明会会長「お祝いの言葉」 

清明会会長 35回生 道谷 卓

第74回卒業式の挙行にあたり、同窓会・清明会会長として一言お祝いの言葉を申し上げます。

卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。保護者のみなさまにおかれましては、お子様方の門出を迎えるにあたり、心よりお慶び申し上げます。また、わが後輩たちを御指導頂きました中谷校長先生をはじめ教職員の方々、本当にありがとうございました。同窓会を代表しまして御礼申し上げます。

さて、母校、御影高校は、昭和16年(1941)に兵庫県立第三神戸高等女学校として産声をあげ、途中、昭和23年(1948)の学制改革に伴い、兵庫県立御影高等学校と校名が変更され、昨年、創立80周年という記念すべき年を迎えることができました。コロナ禍の中でしたが、10月29日に無事、創立80周年記念式典を壮大かつ厳粛に挙行することができました。卒業生のみなさんは、10年に一度の周年行事に現役生として参加することができ、とてもよい思い出ができたのではないでしょうか。この思い出を大事に、卒業後も母校のことを忘れないでください。

さて、御影は、以前から教育熱心な地として知られ、明治時代中期には、後に柔道を世界的スポーツに広めた御影出身の嘉納治五郎発案の「御影教育義会」がこの地域の教育の発展に大きく寄与していました。また、戦前の昭和15年(1940)に開催されるはずだった東京オリンピック招致を成功させたのが嘉納治五郎でした。治五郎を日本五輪の父と呼ぶ所以です。ここ御影高校のある場所は、その治五郎と深い関係があります。母校の地には戦前、御影第二小学校があり、治五郎が御影に帰省した時には、必ず第二小学校の講堂で地域の人々に講演をおこなっていました。今、特別教室棟のそばに「御影第二小学校址」の碑がありますが、この碑は、母校と治五郎の接点を示す貴重な証です。

清明会会長 35回生 道谷 卓

令和3年度兵庫県立御影高等学校卒業式

ところで、わが清明会は、母校創立4年後の昭和20年(1945)に発足しており、「清明会」の名前は、県三時代の校訓「清く 明るく 正しく」に由来しています。当時の記録を紐解きますと、昭和20年5月27日、勤労動員中のため宝塚国民学校において、清明会結成式を挙行し、会名や会則の制定を行い、終戦間もない8月19日に、宝塚の川面神社の境内で第一回総会が開催されたと記されています。このとき以来、母校は、3万人を超す卒業生を輩出し、わが清明会の会員も様々な分野で活躍しています。

今、世の中は、高度情報化やグローバル化のもと、様々な価値観を持った複雑な社会が展開されようとしています。また、2年前から全世界を驚異におとしいれた新型コロナウィルスの感染で、これまでの生活様式は一変してしまいました。みなさんは1年生の終わりから2年以上もコロナ禍での学校生活を余儀なくされ、修学旅行や文化祭、体育祭、部活動など高校生活ではかけがえのない多くの行事や活動が、何らかの制約の下で行なわれ、とても大変な毎日を過ごしてきたのではないでしょうか。ただ、高校生活の多くをコロナ禍で過ごすという大変な体験は、社会に出てから何らかの指針となるはずです。というのも、これまでは与えられた課題を着実にこなしていけば、先へ進むことができましたが、これからは、課題そのものを自分で見つけ、解決していくという主体的な側面が重要視されるからです。このことは、個人の自由度が増すことを意味しますが、反面、それ以上に個人の責任が大きくなるということでもあります。とりわけ、今年4月1日から民法の成人年齢が、20歳から18歳に下がり、みなさんが新しい道を歩む4月から、いきなり大人の仲間入りをすることになります。これまでは、なにか金銭上のトラブルがあれば、保護者や家族が前に出て助けてくれましたが、これからは、みなさん方が自分自身でそのトラブルを解決しなければならないのです。成人とはそういうことを意味するので、これからは自由を存分に謳歌し、一方で、責任をしっかりと果たすことのできる人間に育ってください。私の座右の銘に「彰往考来」と言う言葉があります。これは、中国の『春秋』左氏伝にある言葉で、過去を彰らかにして、未来のことを考える、それが歴史の目的だ、という意味です。歴史を学ぶのは、過去を懐かしむためでなく、よりよい未来を創るために学ぶのです。これからの人生、いろいろな壁に突き当たることもあるでしょうが、その時は、みなさんの過去を振り返ってみてください。そこには進むべき未来の手がかりがきっと隠されているはずです。

みなさんは、今日、御影高校を卒業しますが、これからは同窓生として、母校を見守っていてください。そしてここ御影高校での想い出を忘れずに、さらなる飛躍をとげるようがんばって下さい。

最後になりましたが、清明会は、卒業生の絆を深める存在として、クラス会や学年会の支援をさせてもらっています。しばらくはこうした会合が持ちにくいですが、コロナが終息した際には、クラス会や学年会を開催して親睦を図ってもらえるよう何でもご相談ください。そして、清明会へのご支援、ご協力を、お願いいたします。

本日はおめでとうございました。

令和4年3月1日

兵庫県立御影高等学校同窓会・清明会会長 35回生 道谷 卓


令和3年2月28日 同窓会清明会入会式 清明会副会長 小林 進